2020/04/27 16:54
■ロディオラって何?
ロディオラは別名イワベンケイやロゼアであり、学名はRhodiola roseaであります。ロディオラはベンケイソウ科の2年以上枯れることがない草であり、多年生草本に分類されています。北極圏において自生する植物で古くからロシアや北欧、アラスカやカナダなどにおいて大衆医薬品として伝統的に用いられています。日本国内にも生えており、北海道や本州中部の非火山性の山に生えていると言われています。ロディオラの茎や葉は食用にも用いられています。
一般的には「記憶力を向上させる」「認知力を向上させる」などと言われています。人間における安全性のデータもあり、安全に使用することができると言われています。
■成分と特性
主な成分として、salidroside
(rhodioloside、rhodosine) 、rhodioniside、rhodiolin、rosin、rosavin、rosarin、rosiridin、tyrosol、フェニルプロパノイド類、フラボノイド類 (カテキン、プロアントシアニジン) 、シアン配糖体、モノテルペン、トリテルペン、没食子酸、コーヒー酸、クロロゲン酸などを含むとされています。
salidrosideは認知機能の低下や精神病などでの神経保護効果もあると言われており、記憶力の改善などに効果があると言われています。まだまだヒトでのデータは不十分ですが、パーキンソン病などの神経性の病気での治療薬候補の一つとして注目がされています。
■安全性
一般的な情報として、適切に短期間摂取することは、安全性が示唆されているため、比較的安全に使用することができると考えられています。めまいや口の渇きが生じる可能性があるので、その点には注意が必要と言われています。ロディオラを1日で1.5~2.0 g摂取すると、数日以内に易刺激性亢進や不眠が生じる可能性があると言われているが、市販されているサプリメント製剤よりも多い量のため、気をつければ使用することができると思います。
妊娠されている方や授乳中の方では安全に使用できるというデータがあまりないため、使用は控えた方が良いと考えられます。子供においてのデータも十分ではないため、サプリメントとしてとる時は十分でないため、注意が必要でしょう。
動物で安全性をみた試験においても1日人間で言うと100gぐらいの量を摂取して副作用が出ると言う報告もあるため、サプリメントなどで摂る通常の量であれば安全性に問題はないと思います。
薬との飲み合わせの報告はありませんでした。多くの薬との飲み合わせは問題ないと考えますが、薬を飲んでいる方が飲む場合は薬剤師や医師に相談の上、はじめてみると良いでしょう。
あとはどのような薬でもサプリメントでも、食品でもそうですがアレルギーのリスクは少なからずあります。飲んだ後に、体が痒いとか発疹が出てきたりですとか、そういうことがあればすぐに飲むのをやめて医療機関を受診することも必要であると思います。
■効果
ロディオラによる効果は頭が良くなるや疲れにくくなる、運動能力が向上するなどが言われています。それらについて細かく記載してみました。
・頭が良くなる
海外でのデータではありますが、161人の19-21歳の士官候補性の方を、ロディオラを飲ませる人と飲ませない人に分けて記憶力が改善することがあったかを調べる研究でのデータがあります。この研究では、短期記憶を示す数値が改善したという結果があります。
アメリカやヨーロッパでは記憶力が向上するとして、サプリメントとして広く使用されているようです。
・疲れにくくなる
同じく、海外でのデータではありますが、161人の19-21歳の士官候補性の方を、ロディオラを飲ませる人と飲ませない人に分けて記憶力が改善することがあったかを調べる研究でのデータがあります。この研究では、だるさを示す数値が改善したという結果があります。
様々なサプリメントの口コミなどでも疲れにくさが取れたなどの口コミが多く見られるため、使用する方の実感としては効果があるようです。
・運動能力が向上する
疲れにくくなるのと近いかもしれませんが、運動の能力が向上すると言われています。しかしながら、運動能力の向上については改善するという説とあまり変化がないという報告があるようで、まだまだデータとしては十分とは言えないと考えます。しかしながら改善しなかったという報告ではロディオラを飲んでいる期間と3日間と短いため、長期的な視点では改善する効果があるのではないかと考えられます。
運動能力が悪化したという報告は見つからないため、運動能力が向上する可能性があると考えておくと良いでしょう。
・不安を和らげる
データとして十分なものは言えませんが、不安を和らげる可能性があると言われています。これについては十分な証拠がないため、まだまだ可能性という段階です。
・高山病やうつ病、がん
効果があるとして言われていましたが、可能性があるのみで現時点ではあまり明らかになっていないのが現状です。
■論文等の研究情報
・ロディオラの異なる2つの投与量での精神神経運動能力の比較
海外でのデータで、161人の19-21歳の士官候補性の方を、ロディオラを飲ませる人と飲ませない人に分けて記憶力が改善することがあったかを調べる研究でのデータがあります。この研究では、短期記憶や倦怠感を示す数値が改善したという結果があります。
・ロディオラによる運動後の炎症や筋肉疲労の比較
ロシアでのデータですが、21-24歳の36人の男女で運動後の炎症や筋肉疲労の数値を比較した試験です。30日間飲み続けることで、炎症の数値や筋肉疲労の数値が下がったとされています。
・ロディオラによる倦怠感改善の効果
海外でのデータですが、20-55歳の60人の男女で倦怠感がある人をロディオラを飲む人と飲まない人に分けて、比較した試験です。ロディオラを飲んだ人では倦怠感を示す数値が大きく改善されています。
・ロディオラによる倦怠感と記憶の改善
ロシアでのデータですが、19-21歳の121人の方をロディオラを飲む人と飲まない人に分けたところ、ロディオラを飲んでいる人たちの方が倦怠感を示す数値が改善し、記憶力を示す数値も改善したと言われています。
参考文献
BMC Complementary and
Alternative Medicine 2012 12:70
Registry of Toxic Effects
of Chemical Substances (RTECS)